松ぼっくりが繋いだ未来
2021.02.14
私は〝面白い田舎〟にしたいのですが
ヨソ者が勝手にしたくない
と思っています。
熊本地震や岩手県岩泉町の台風10号で約2年間災害支援をしていた時に「いいことやってます!」と、地域の方を置いてけぼりに、自己満で活動されている方をたくさん見てきました。
今回キャンドルを作りたいなって思ったときに、震災前から活動されている『高田松原を守る会』の方々に真っ先にお伝えしました。
そしたら快く「どうぞ」と言ってくださったのです。
『高田松原を守る会』の役員(一部)
そして先日、完成したキャンドルをお披露目に行ったところ
「あの頃の松原そっくりだ」
「この再現度はすごい」
「火を灯さずに眺めてたいね」
と嬉しいお言葉をいただきました。
まだクラウドファンディングは終了しておりませんが、やって良かったな、と心から思いました。
震災前から高田松原を誰よりも見てきた方々が子どものような表情で喜んでくれたから。
震災前の高田松原
☘ 2006年
『高田松原を守る会』は2006年に発足しました。
前回の活動報告で書いたように、様々な百選に選定された美しい松原を後世に残すため、震災前は「環境保全活動」「普及啓蒙活動」「先人感謝祭」を行っていました。
そんな350年前から愛されてきた高田松原が東日本大震災により失われました。
植樹された松
☘ 600本
約70000本あった松原は1本を残して消失。
東日本大震災当時の『高田松原を守る会』会長は、近所の方々を津波から避難させるために尽力し、津波に流されて亡くなられました。
「もう解散しようか」と松原の再生を諦めようしたとき、小さい頃から高田松原でよく遊んでいた高齢な女性が、松ぼっくりの種を持って来てくれました。
それは
震災の前年に高田松原で拾った松ぼっくりから出た種
です。
「やっぱり美しい松原を孫世代にも見せたい」
と種を見たときに決意し、松原再生のために会の存続をしていくことにしました。
現在、震災前の松ぼっくりの種から芽生えた松の子どもたちは600本ほどあります。
再生を目指す高田松原
☘ 40000本
岩手県や陸前高田市と共に40000本の植樹に取り組んでおり、『高田松原を守る会』としては10000本の植樹を担っています。
2021年2月現在で9000本の植樹を行いました。
それは会のメンバーだけでは到底できることではなく、たくさんの植樹ボランティアと共に行いました。
2020年末時点で、年間延べ300人を超える会員と、延べ1000人を超えるボランティアのおかげで活動ができています。
2021年には残り1000本の植樹を行い、目標の10000本に到達予定です。
しかし、植樹を終えた後も松の管理や草刈りなど活動はずっと続いていきます。
『高田松原を守る会』会長の鈴木さん
☘ 120歳
現在の『高田松原を守る会』会長は70代。
東日本大震災前の姿を取り戻すのに50年以上。
会長は
「120歳まで生きねばなんねぇな」
と笑って話してくれました。
さらに
高齢者が中心の役員理事たちも50年先
を見ています。
めっちゃロマンじゃないですか。
草刈りのボランティアを募り、高田松原再生講座などを行いながら、これからも高田松原を守り後世に伝えていく活動を行っていく『高田松原を守る会』のファンを作りたい。
奇跡の一本ではなく40000本の再生を50年以上かけてやろうとしている。
そんな今の陸前高田を知ってほしい。
高田松原キャンドルをどうしても全国へ届けたい
と思いました。
これがヨソ者の私が頑張る理由の1つです。
私が『高田松原を守る会』会長を取材して書いた記事が、一般社団法人トナリノが運営する「けせん震災と昔の記憶」というサイトに載ります。
そちらには東日本大震災当時の話や鈴木さんのことも書いておりますので、よろしければご覧ください。
https://kesenkioku.nanapre.com/