「越喜来プレミアム」小さなまちから日本の水産業を救う、若き漁師の挑戦。
by 中野えびす丸 第16代船長 中野圭
はじめまして。
中野えびす丸船長の中野圭です。
岩手県大船渡市の越喜来(おきらい)という地区にある崎浜漁港で、漁業を生業にしています。主にホタテの養殖をしていて、その他に、ホヤ、ワカメなども取り扱っています。
現在、僕が進めているプロジェクトについてお話をしたいと思います。
その名も
「越喜来プレミアム」
地元の大船渡市越喜来でとれた産品で、大人向けでお酒にばっちり合うプレミアムおつまみをつくります。
ただ、これは単純に一つの加工食品を発売する、というわけではありません。
「越喜来プレミアム」の開発・発売を通じて、
日本の水産業を救う新しいモデルを構築したい
と思っています。
今回の新型コロナウイルスの影響で、他業界と同じく水産業も大きなダメージを受けています。前年度比でいうと9割減という月も。
だけど、今回の新型コロナウイルスよりも恐ろしい問題がこれから僕たちを待ち受けています。
それは、
「漁業関係者の高齢化による圧倒的人材不足」
「これまでにみられない海中環境の変化」
この2つがゆっくりと、確実に、おとずれているのです。
「漁業関係者の高齢化による圧倒的人材不足」
漁業関係者の人材不足は越喜来地区だけの問題ではなく、全国の漁業を含めた水産業全体が抱える社会問題です。
国内の漁業就業者数は一貫して減少傾向にあります。
▼漁業就業者数の推移

(出典:水産庁「平成29年度 水産白書」より抜粋)
農林水産省の調査報告書「漁業センサス」(2018年)によると、全国の漁業経営体数は5年前に比べ16.3%減少しています。
また、自家漁業の後継者がいる経営体は全体の17.0%にとどまっている(個人経営体に占める割合)。
僕たちが属している大船渡市三陸町崎浜港でも、ホタテ養殖を営む人の中においては、僕の一つ上の世代が60代オーバー。
僕たちがまだ30代前半であるのに…
10年後の2030年、20年後の2040年、崎浜港はどうなるのでしょうか。
さらにいうと、日本の漁業はどうなっていくのでしょうか。
崎浜港の多くの漁業家系が後継者問題を抱えています。
人生100年時代だから高齢になっても働ける人は働ける元気な先輩方がたくさんいますが、そうはいっても足腰は弱まり、海上事故のリスクも高くなるのは必至です。
「これまでにみられない海中環境の変化」
地球温暖化などの環境問題も、実はとても身近な問題であることに気付かされます。
漁業を生業としている僕たちは、海中環境がものすごいスピードで変化してきていることに気づきます。
専門家の話によると、プランクトンの生態が「これまでとはありえない」ことになっている、というのです。
実際に、国内漁業・養殖業の生産量も減少傾向にあります。
▼漁業・養殖業の生産量の推移

(出典:水産庁「平成29年度 水産白書」より抜粋)
すべてが温暖化の影響かどうかわかりませんが、元々とれていたものがとれなくなってきている、育っていたものが育たなくなってきているのが現実です。
ホタテの養殖についても問題があって、ホタテを養殖している生存率というのが大きな問題になってきています。いわゆるホタテのタネがあって、1cmにも満たないところから生育するんですけど、そこからの生存率が10%も満たない(震災前は80%程度!)状態で、ホタテが大きくなる前に死んでしまうという状況です。
もうひとつ、貝毒という問題もあって、これはホタテ自体は問題もないんですが、食べる人体に影響があるという「フグ毒」と同じ原理のものです。
これは越喜来だけの問題ではなく、日本全国でそれが起きはじめていて、北海道から沖縄まで各地で貝毒というのが発生して、いままで食べれていたものが食べられなくなってきている、という状況です。
僕は、この人材不足や海洋環境の変動からくる自分たちの漁港の未来を案じています。
そしてこれは、自分たちだけの問題ではないのです。
全国の水産業全体の問題であり、水産業によって成り立っている僕たち生活者の食にも関わる問題であるのだと考えています。
だからこそなんとかしたいと、動き出そうと決めたのです。
岩手の漁業を「守る」はずの制度の課題があります。
岩手県では共販(きょうはん)制度というのがあって、ホタテに関しては共販制度の対象の産品で、生産者が消費者に直接売るということが難しいんです。
漁業協同組合を経由して、権利を有する卸業者に対してしか共販の産品を供給できないという明文化されていない暗黙のルールがあって。
でもこれ自体は問題ではない。そもそもなぜそんなルールが有るのかと言うと、元々は生産者を徹底的に保護するためのルールで、生産者は生産に関することを集中して良いものをつくることを考える、協同組合や加工業者がどういう風にそれを売っていくかを特化して考える、という分担でやっていたんです。
生産者はとりあえずどこに売るのかというのを考えなくても生産に集中できるから、これはこれで素晴らしい制度。
それがずっと続いていて、問題なのは「そうでなければならない」という”思い込み”、そして、共販制度による流通と自身による流通をどちらかに絞らなければいけないという”空気感”があるんです。
自分がつくったホタテを、「中野圭がつくったホタテを食べたい」と思う人にぜひ食べてもらいたいというのがあって、これから社会のニーズはそっちに変化していくし、人と人のつながりをホタテを通じて作っていきたい。
いまの新型コロナウイルスの影響の中でより問題が顕在化してきています。
現在、岩手県産の養殖のホタテは多くが首都圏の飲食店向けに売られていて、その首都圏の飲食店のニーズがものすごく落ちているなかで、ホタテの値段もどんどん下がって、昨年比で言うと半分から3分の1の値段になっています。
その値段は、生存率が良かったころは成り立っていたけど、今の生存率では漁業者の生計が成り立つような水準の金額ではなくなっていて、ただ、だからといって自分で価格決定して顧客開拓することも制度上できないし、巣ごもり需要で「家でホタテ食べたい人」に届けることもできないし。
なので、元々は生産者を守るためのルールだったのが生産者をしばりつける形になっているというのが、大きな課題と感じています。
僕は自分でお客さんを探したりとか、発信したり、販売したり等していきたいと思っています。そこにどうやって風穴を開けようかというのを考えています。
繰り返しますが、共販制度を否定しているのではなく、制度の縛りを緩和して自己努力の枠を希望者には設けることで、モチベーションの維持や漁業者の生活を支えることになるのです。もちろん卸業者を中抜きせず、その革命を一緒にやっていくことが必要、というかそうでなければ共倒れの未来しかないんです。
いま、僕が注目している仕組みのお話をしたいと思います。
「6次化産業」という言葉はご存知でしょうか?
6次化産業とは、1次産業(農林水産の生産業)+2次産業(加工や製造)+3次産業(販売やサービス)を総合的に実施するというものです。
つまり、生産から加工・製造、そして販売まで全てを自分たちでやってみようということです。
自分で作っているものに手を加えて商品化し、販売までおこなう。
楽しそうだしやりたいんだけど、実際にやってみてはいるんだけど、やってみた結果、「生産者が全部やるのは無理」だと思ったんです。
やっぱり、そこはそれぞれの領域にプロフェッショナルが存在していることがわかりました。
だからこそ出した結論として、1次、2次、3次の人たちをまとめたチーム作りをおこなう、越喜来オリジナルの6次化産業プロジェクトです。
物理的に、生産者の時間もないし、ノウハウもない。
だからやっぱりどうしてもショボいものになっちゃうなと感じる。
さらに、新しい価値を生み出して、それを周りも享受できるシステムをつくることも大切なんだと考えています。
仮に、僕が越喜来プレミアムを全部生産から加工・販売まで自分だけでつくれたとする。越喜来プレミアムが100万円分売れたら、100万円俺にはいってくる。
でも2次産業と3次産業の人とチームで商品をつくることによって、1次から2次、2次から3次とすることで、商品の価値・クオリティを高められ、200万円を売り上げることになる可能性があります。
そうすれば、1人でつくるよりも、2倍、3倍の価値が社会に伝えられることになると思うのです。
6次化産業には他にもメリットがあります。やはり、一番は「食べてくれる人の顔が見える」こと。
誰のために、ホタテをつくるのかがわかるほど、気合を入れてもっと美味しくしようと本気で思えるようになるのです。
そして、その本気度が伝わることで、より多くの人に商品が行き渡る。そういった良い流れに持っていきたいと思っています。
これからの水産業のあるべき姿として、生産者と卸業者・加工業者・販売業者がチームになって、個別の小さいニーズに対応していくチームを作ることが理想です。
コロナ禍でわかったのは、個別の小さい個人直販へのニーズというのが予想以上に大きい。だからこそ、それに対応できるチーム作りが必要だと感じています。
今回、越喜来プレミアムで、理想のチームで動き出そうとしています。商品開発・加工・製造・販売まで大船渡の加工会社シャインさんと一緒にチームでやっています。
設備もない、時間もとれないなかでシャインと一緒にやれていることは非常に心強いです。
販売促進・マーケティングにも古くからの友人や、RE:SiDE(リザイド)という副業マッチングで仲間になってくれた頼もしい方が協力してくれています。自分だけでは絶対にできない領域でチームとしてできることをやっている。
このチームで6次産業化ができていくことが第一歩です。
そんな「越喜来プレミアム」プロジェクトとして記念すべき第一弾の商品を開発しました!
それは、ずばり「ホヤのレアスモーク」。
【ポイント】
◎三陸のスーパーフードとして注目されるホヤをレアスモークに
◎レアスモーク製法で実現した新鮮なホヤの旨味を自宅で味わえる
◎燻製チップに大船渡産クロモジを活用し地元に貢献。柑橘系の薫りとホヤの塩気と甘みにマッチ
「俺が食えるホヤをつくる。」
ホヤって知ってますか?三陸のスーパーフードとして注目されるホヤは、足が早く鮮度の高い状態で流通させることが難しい逸品です。
少し鮮度が落ちたときの独特の臭みが、実はホヤ漁師の俺も苦手で、船の上で食う本当に新鮮なものしか食えません。(船の上で食う奴は別物です。やばい)
そんな、ホヤ。お酒大好きな俺がなんか普通に食えるようになりたい!と色々試行してたどり着いた一番美味い食い方が
「ホヤのレアスモーク」
でした!ぜひ大好きなお酒と一緒にご賞味ください!
【味の特徴・食べ方】
新鮮な状態のホヤをレアスモークで仕上げることで、臭みを消しながらも塩味と甘みを、芳醇なスモークの香りで閉じ込めました。
味付けは一切しておりませんが、そのままお酒のつまみとして味わうのはもちろん、軽く炙っても美味しくお召し上がりいただけます。
【こだわり】
こだわりポイントは新鮮なホヤを殻付きのまま一度冷凍し旨味を凝縮すること。
そして仕上げのスモークに使用するのは地元で採れる希少木材の「クロモジ」です。爽やかな柑橘系の香りと酸味がほんのりホヤにマッチして酒のアテに最高です。
僕自身、越喜来にずっと住み続けていきたい、生きていきたいと思っています。
だからこそ、越喜来で生きていることをもっともっと楽しいと思えるようになりたい。
自分が楽しいと思える瞬間はどんな時かと考えてみると、
自分ひとりが楽しい、ではなく、越喜来に関係するすべての人たちが楽しいと思ってくれている状態が自分にとって最高の瞬間になっているということがわかったんです。
だから、ふるさとである越喜来というまちを盛り上げたい。
その盛り上げる着火点として「越喜来プレミアム」をスタートさせました。
また、買う人にとっても、越喜来プレミアムを通じて「気持ちのつながり」を感じられるようになってもらいたいのです。
新型コロナウイルスの状況で、大切な人に会えない、家族に会えない気持ちを
「何か贈りたい」という気持ちになって商品を買ってくれる人がたくさんいました。
ホヤを贈るというより、気持ちを贈る。
そういう気持ちを大切にしたいと思うんです。
作り手である自分自身の思いだけでなく、贈る人、食べる人の気持ちのつながりを感じられるような商品をつくっていきたいんです。
三陸の海から食卓まですべての人に想いがつながるために。
越喜来というまちを盛り上げるために作ってきた。
ふるさとを盛り上げるために。
自分の大切な場所を守るために。
自分の大切な人を笑顔にするために。
生産者の越喜来を想う気持ちが
買う人の「大切な人」を想う気持ちにリンクして
作る人も、売る人も、贈る人も、食べる人も
つながりが感じられる
そんな商品をつくっていきたいです。
それが、僕のチャレンジです。
つながりを感じられる商品をつくるために、みなさんのサポートを必要としています。
■妥協しない商品づくり
一つの商品をつくるのに、何百通りもトライしていきます。そのために、原材料が嵩みます。
そういったコストとして、今回のクラウドファンディングでサポートいただいたお金を活用したいと考えています。
■クオリティの高い地場産品をつかうこだわり
越喜来プレミアムのこだわりとして、「クオリティの高い地場産品」を使うことを意識しています。
ホヤのレアスモークでは、大船渡産のクロモジチップを使用することで芳醇な薫りでホヤの風味を高めています。
これから新商品を開発していきますが、新商品でもクオリティの高い地場産品を活用していきたいと考えています。
■真の6次化産業を実現するためのチームづくり
越喜来プレミアムは、1次、2次、3次のそれぞれの領域のプロフェッショナルな人たちとともにすすめるプロジェクトになっています。
今後、さらに想いをしっかりと伝えるために新商品を開発するだけでなく、越喜来の良さや価値を伝えるために様々な活動をしていきたいと考えています。そのための活動軍資金としてチーム体制を強化していきたいと考えています。
【資金の使い道】
①越喜来プレミアム開発費:100,000円
②越喜来プレミアム仕入れ費:100,000円
③越喜来プレミアム発送費:55,000円
④クラウドファンディング手数料:45,000円
総額:300,000円
◎越喜来プレミアムをじっくり味わいたい人のために
・5,000円:ホヤのレアスモーク5個(送料込み)
・4,500円:ホヤのレアスモーク3個とホタテ1枚(送料込み)
・7,500円:ホヤのレアスモーク6個とホタテ2枚(送料込み)
・10,000円:ホヤのレアスモーク10個とホタテ5枚(送料込み)
※ホタテについては、貝毒の状況次第でお送りできない場合がございます。
その際には、個別にご連絡させていただきます。
※保存方法
ホヤのレアスモーク:賞味期限は、袋のまま冷蔵庫1ヶ月です。(冷凍可)すぐにお召し上がりにならない場合は冷凍庫で保管してください。
ホタテ:賞味期限は、冷蔵保存で発送から4日程度です。(冷凍可)
◎越喜来の旨みが凝縮されたホタテが大好きな人のために
・5,000円:ホタテ8枚
・3,500円:ホタテ3枚とホヤのレアスモーク1個(送料込み)
・7,000円:ホタテ6枚とホヤのレアスモーク2個(送料込み)
・10,000円:ホタテ10枚とホヤのレアスモーク5個(送料込み)
※ホタテについては、貝毒の状況次第でお送りできない場合がございます。
その際には、個別にご連絡させていただきます。
※保存方法
ホヤのレアスモーク:賞味期限は、袋のまま冷蔵庫1ヶ月です。(冷凍可)すぐにお召し上がりにならない場合は冷凍庫で保管してください。
ホタテ:賞味期限は、冷蔵保存で発送から4日程度です。(冷凍可)
◎越喜来プレミアムのプロジェクトに参加したい人のために
・30,000円:「越喜来プレミアム」プロジェクト参加権
越喜来プレミアム、もしくは、関連する新商品開発など、
一緒にプロジェクトを推進していける人を募集しています。
各領域の様々なプロフェッショナルと連携してプロジェクトを推進します。
実施期間:2021年12月31日まで
具体的な活動内容は下記の通りです
・オンライン会議(月1~2回程度)
・現場体験(年1回以上、2~3日程度、交通費等は支援者様の自費となります)
・想定される成果物として「イベント」や「商品」になります
なお、現地フィールドワークは新型コロナウイルスの状況をみて実施をしない可能性もございます。
また、オンライン会議での協議内容によって、成果物の内容やプロジェクトスケジュールが変更される可能性もございます。
【お問い合わせ】
実行者:中野えびす丸 第16代船長 中野圭
メールアドレス : nakanoebisumaru@kushami.jp
Facebook :https://www.facebook.com/kei.nakano.35
プロジェクトが成立しました